うつ病で仕事を休職することを考えている人は、会社にそのことをどう相談すべきか正直悩んでしまいますよね。うつ病で休みたいと言えば、上司には甘えていると言われるかもしれない…そんな不安はつきものです。
うつ病の苦しみは、やはりなったことのある人しか最終的には分からないと言います。また、言ってしまえば症状の軽さ・重さ、日常の中でつらいと感じるポイントは、同じうつ病を患っている人でも違ってきます。本当の意味では、つらい気持ちは本人しかわからないでしょう。
だからこそ上司や周りの同僚の理解を得て、仕事を休職することは、本人にとっても難しい決断になります。また、それだけでなく、休職することによる生活費の心配なども付きまとうでしょう。
そこで今回は、うつ病で仕事を休職するのは甘えなのかという点に焦点を当てながら、会社に相談すべきか迷ったときに考えたいことを解説していきたいと思います。
うつ病で仕事を休職したいと言ったら…
会社にうつで仕事を休職したいと相談した際に、「甘えている」と言われ、すでに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。また、そう言われそうな気がしてたまらず、なかなか会社に相談できず困っている人もたくさんいるでしょう。
一見問題なさそうに見えるのがうつ病の難しいところ
うつ病の難しいところは、症状が周りから見て非常にわかりづらい点にあると言えます。普段は部通に人とコミュニケーションが取れて、普通に仕事もこなせて、人間関係もそれなりに充実している……そんな人でも、実はうつ病を患っていることは意外と多いものです。
ですがそんな人が実はうつだと言っても、周りは正直信じがたいところでしょう。何をもってうつと言えるのかもわからず、「本当にうつ病なの?気のせいなのでは?」とも言いたくなるかもしれません。
うつ病に悩まされている人のほとんどは、何も常にうつの症状に悩まされているわけではありません。だからこそ一見何も問題なさそうに見える人は多いのです。ひたすらふさぎ込んでいて、何もしゃべらない、人とまともにコミュニケーションが取れない……そんな絵に描いたようなうつ病患者は意外と少ないものです。
明るく見えるけど、実はうつの症状で不眠に悩んでいる、突然自己嫌悪の心理に陥ってふさぎ込んでしまう、一般的にコミュニケーションは取れるものの実は自己評価は非常に低く落ち込みやすい……そんなふうにうつ病と戦っている人はたくさんいます。ですが周りからしてみればその症状は見えにくいため、つい「気のせいなんじゃないの?」と疑ってしまう心理は芽生えてしまうものです。
中にはうつ病を甘えと取る人もいる
残念ながら、中にはうつを「甘え」や「弱さ」ととらえ、かたくなに疾患とは認めない人もいます。気持ちの持ちようでどうにかなるだろう、甘えているだけだといった考えで、そのような人はうつ病患者を馬鹿にするような発言をしてくることも少なくありません。
職場にそういったタイプの上司や先輩がいると、どうしてもうつ病の相談はしにくいものです。結局「甘えてるだけだよ。もっと頑張れば大丈夫」と言われて、話は終わってしまいます。うつ病という精神疾患で悩んでいるのにも関わらず、「病気ではない、甘えているだけ」と言われれば、話は進みません。休職も拒否されてしまう可能性があります。
うつ病になったら仕事は休職できるもの?
うつ病になった場合、仕事を休職することは可能なのでしょうか。うつ病になったときの対処の仕方の一つとして仕事を休むということは選択肢の一つになりますが、休職は可能なものなのか、ポイントを見ていきましょう。
うつ病になれば休職を認めてくれる会社がほとんど
基本的に、うつ病になったことを申告したうえで休職の希望を出せば、多くの会社が休職の許可を出してくれます。しばらく休職すれば、心身ともに休息をとってゆっくりうつ病と向き合うことができるため、治すきっかけを持つことができます。これは大きなチャンスです。
ストレス社会と言われる現代社会ですから、うつ病を患って仕事を休職する人は少なくありません。休職に対しても柔軟に対応してくれる会社は多いでしょう。
うつ病で仕事を休職することを考えるなら、まずは会社の上司に相談するところから始めたいところです。対応する上司によっては、上でもお伝えしたように「甘えている」といった対応をする可能性もありますが、そういった場合は別の上司やもっと上の人間に相談することなども考えつつ、こちらも自分の身を守るための対策をしていきたいところです。
必ずうつ病の診断書を提出しよう
うつ病で仕事を休職するときは、基本的に会社に診断書を提出することが必要になってきます。これはうつ病だということを正式に証明する必要があるためです。ただでさえうつ病は症状が見えづらい病気なので、診断書の提出はほぼ100%必要になると言えるでしょう。
診断書は自分がかかっている病院の担当医師に書いてもらいます。病院にかかっていない状態でうつ病だと自分で判断し、診断書を作るようなことはできないため注意してください。担当医師にうつ病だと診断され、休職が必要だと判断された場合に、診断書を書いてもらいましょう。
うつ病で仕事を休職するときの不安要素とは
うつ病で仕事を休職することは可能ですが、やはり休職したからといって何もかも安心できるというわけではないのも確かです。うつ病で仕事を休職する際には、どんな不安要素が伴うのでしょうか。重要なポイントを見ていきましょう。
うつ病で仕事を休職すると給料がもらえない
うつ病で仕事を休職してしまうと、会社からは給料やボーナスは支給されなくなります。うつ病で仕事を休職することは、あくまで本人の都合で休みを取っているという判断になるためです。仕事が原因でうつを発症した場合でも、実際のところは労災と判断されるには意外と難しいポイントがいくつかあるため、労災と認められないことも多いです。
そのため休職中は、何もしなければ無収入の状態になってしまいます。これは非常に厳しい状況です。そんなときは、公的支援として「傷病手当金」を申請することが大切になってきます。
傷病手当金とは病気やケガなどで働けない人の収入を、一定額補償する制度です。給料の全額が補償されるわけではありませんが、ある程度の収入にはなるため、無収入で困らないためにはこのような制度の利用が必要になってきます。
うまく復職できるかどうかの不安もある
仕事を休職した際は、その後うまく復職できるかどうかという不安も付きまといます。うつ病の場合、休職したからといって完全に症状が改善するとは言い切れないのが難しいところです。休職中にさらにふさぎ込んでしまい症状を悪化させてしまう人もいますし、治ったと思っていたのに復職をきっかけに結局症状を再発させてしまう人もいます。
また、休職すれば、復職までにはある程度時間を要します。そんなブランクは働く意欲そのものを奪ってしまう可能性も高く、復職には苦労することも多いです。
復職できても出世街道からは外れてしまう可能性が高い
仕事に復職できたとしても、その後、出世街道からはすっかり外れてしまう可能性は高いです。というのも、うつ病による長期的な休職は、その後の評価に響くことが多いからです。
それまでは出世街道まっしぐらだったのに、休職したことで評価が下がってしまい、ポジションが変わってしまった…ということはよくあることです。立場が下がり、嫌な思いをする人も多いかもしれません。
それでもうつ病でつらい時は仕事を休職しよう
うつ病で休職することを「甘え」「サボり」ととらえる人は確かにいます。また、休職すれば低収入になりお金に困ることも場合によっては出てくるでしょう。ですが、それでもうつ病のせいで仕事に行くのがつらいのなら、やはり休職するのが手段としてはおすすめです。
収入が減るとはいっても手当は受け取れる
休職中は給料をもらうことはできませんが、傷病手当金を受け取ることは可能になります。傷病手当金の額は、毎月、給料のおよそ3分の2が目安です。60%ほどの額なので、単純計算するなら、30万の給料をもらっていたのなら、20万円前後の金額を受け取れると考えておけば良いでしょう。
確かに休職による収入減は大きな問題の一つです。養うべき家族がいる人にとっては、非常に深刻な問題となります。ですがそれでも、傷病手当金を受け取れば収入がゼロになるわけではなくなるため、考える余地はあるととらえるべきでしょう。
本当の意味で路頭に迷ってしまうわけではないため、どうしてもうつ病の症状がつらいときは、手当の申請をすることを考えつつ、休職は視野に入れたいところです。
会社に属したまま休みを取れる安心感は強い
うつ病を患ったことで仕事の退職を考える人もたくさんいますが、退職と休職には安心感の意味で大きな違いがあります。
退職してしまえば、その後は就職先を改めて見つけない限り収入は途絶えてしまいます。ある程度年齢を重ねていて、しばらくうつ病で仕事を休んでいたというポイントがあれば、残念ながらそれは再就職の際にも不利な点として響く可能性は高いです。
ですが休職という選択肢を取れば、会社に所属したまま休みを取れる安心感があります。復職すれば基本的にはそのまま雇ってもらえて、給料も支給されてくるため、仕事を辞めることを考えるなら、いったんは休職という選択肢を取るのもありでしょう。
まとめ
うつ病に苦しむようになれば、仕事にもいろいろと支障は出てくるものです。なかなか仕事に集中できなかったり、ストレスが倍増したりなど、場合によっては仕事を続けていくことが困難に思えることもあるでしょう。
そんなときは、やはり選択肢の一つとして求職することを考えたいところです。確かに収入は減ってしまいますが、いったん会社に所属したまましばらく休めるメリットは大きいでしょう。うつの症状に悩み、仕事を続けるのが難しい…となったときは、一度求職することを考えてみましょう。