「中高年フリーター」という言葉をご存知ですか?
中高年に限らず昨今は政府によるフリーターへの支援などが何かと話題になっています。しかし言葉は知っていてもその定義についてはよく知らないという人は実は多いのではないでしょうか。
今回は特に「中高年フリーター」とはどういった人を指すのか、また中高年フリーターの特徴についてご紹介します。
目次
中高年フリーターの現状
そもそも中高年フリーターとは?
中高年フリーターについて説明する前にまずはフリーターの定義について説明します。
フリーターの厳密な定義づけはありませんが、厚生労働省がフリーターについて調査した際のフリーターの条件は以下のようになっています。
・年齢:15~34歳
・男性は既卒者、女性は既卒者かつ未婚者
・雇用形態:アルバイト・パート
・完全失業者のうち「パート・アルバイト」での雇用形態の仕事を探している者
・非労働力人口で家事も仕事も就業内定もしておらず、希望する仕事の形態が「パート・アルバイトのもの
こで注意しておきたいのは現時点で働いていなくても働く意志さえあればフリーターとみなされるということです。
また、女性は働いていなくても既婚者の場合は専業主婦とみなされるため国がこの調査のために定めたフリーターの定義からは除外されます。
今回すべきは上記に記載されたフリーターの「15~34歳」という年齢です。 今までは主に15歳~34歳をフリーターと呼んでいましたが、昨今は就職氷河期時代の非正規雇用問題などによって発生した35歳~54歳までの非正規雇用者のことを中高年フリーターと呼ぶようになりました。
中高年フリーターってどのくらいいるの?
ではこの中高年フリーターはどのくらいいるのでしょうか。小林美希著『中年フリーター』によると日本における中高年フリーターの人数は273万人に上るとされます。
ちなみに総務省統計局の労働力調査によると95万人~100万人とも言われています。
中高年フリーターになったきっかけ
続いてはそもそもなぜ中高年フリーターたちはフリーターになったのかという点について解説していきます。
就職氷河期で正社員になれなかった
中高年フリーターたちの最も多いフリーターになったきっかけは就職の失敗によるものです。現在の中高年フリーターはちょうど1995年~2005年の10年間の間新卒で正社員になるのが難しくなったと言われた就職氷河期時代と重なっています。
もちろん、正社員という働き方よりもフリーターという働き方に好んでなった人もいますが、その一方で就職先が決まらず仕方なく非正規雇用として働いてきた人もたくさんいるのです。
自らフリーターを選んだ
では自らフリーターの道を選んだという人はなぜその道を選んだのでしょうか。理由はいくつかありますがそのうちのひとつにコンビニやファストフード店などのチェーン店などの増加が挙げられます。
これらの増加は若者にアルバイトとしての多くの選択肢を与えることになりました。
また、当時は名の知れた大学に合格し、そして卒業し就職すると言う黄金ルートが重要視されていました。そのためそのような単調な生き方に疑問を抱いた学生の中には、「自由な働き方をしたい」という理由でフリーターになるという人も多く見られたのです。
これは当時に限った話ではなく現在でもそのような理由からフリーターという道を選ぶ人は少なくありません。
やりたいことが見つからずなんとなく
また、これは中高年フリーターに限った話ではないのですが、やりたい仕事が見つからずになんとなく生きがいを求めて自由なフリーターになるという人も見られました。
中高年フリーターの悩み
続いては中高年フリーターの抱える悩みについて見ていきましょう。
正社員の同年代との収入格差
まずは同世代の正社員との収入格差が著しいということです。20代で仕事を始めたばかりの頃であれば、正社員とフリーターでそこまで大きな収入格差はなく、 むしろフリーターの方が時給で換算すると稼げている場合もあります。
しかしながら30代になってくると、同世代の正社員は会社における地位が上がり昇給したりボーナスが増えたりするためその差は年を重ねるごとに開く一方です。
フリーターにも昇給制度自体はあります。しかしフリーターの昇給といってもせいぜい900円が1100円になったくらいのものですよね。正社員であれば会社によっては30年後には入社時の倍の給料になるなんてことも。
フリーターがもらえる生涯賃金は正社員の1/3ほどだと言われています。
また中高年フリーターになると将来に対する不安も大きくなります。特に老後の備えはフリーターの場合少ない傾向にあり、保険なども必要最低限のものしか入っていないという人も多いです。
ローンが組めない
フリーターは1年後、10年後の仕事の保証ができません。これは社会的信用にも大きく関わるところで、フリーターは基本的に車やマイホームのローンを組むことが困難です。
また、クレジットカードなどの審査も通りにくいというのが現状です。
家庭を持てない
フリーターは結婚相手が見つかりづらく、また、先ほど触れたように収入面の問題で子どもを育てることも難しいことから家庭を持つのは非常に困難と言えます。
もちろんフリーターでも家庭を持っている人はいますが、その場合は人一倍の苦労が必要になりますし、子供に不自由をさせてしまうといったリスクは避けられません。
世間からの目が厳しい
中高年フリーターの世間に対する目は厳しい傾向にあります。20代であれば、夢や目標を追いかける姿勢が評価されることもありますが 、30歳を過ぎて中高年になると「いい歳してまだ定職にもついてないの」といった冷ややかな目を向けられることもしばしば。
また、世間から厳しい目を向けられる理由として、自立できていないフリーターがテレビなどで取り上げられることで「フリーター=駄目な人」と決めつけられるといった可能性もあります。
もちろんフリーターの中には好んでその道を選んでいて、しっかり自立できている人もいるのですが、やはり世間から好意的に見られる可能性は低いと言っていいでしょう。
体力仕事はできなくなる
また中高年フリーターになってくると体力仕事はできなくなるといった悩みも出てきます。また無理をして仕事をしたことで怪我や病気をしてしまえば、その仕事を辞めざるを得なくなるといった事態にもなりかねません。
夜勤や力仕事で収入を得てきた中高年フリーターは年を重ねるごとにそれらは難しくなってくるので収入が増えるどころか、減少してしまう、最悪の場合仕事を失ってしまう可能性も十分にあるのです。
親の介護費や医療費が必要になるケースも
中高年フリーターの親は定年退職を迎える年頃です。高齢になってくると当然怪我や病気にかかりやすくなるのでその介護費や医療費が必要になってきます。
親の貯蓄でなんとかなる場合はまだしも、それらの費用を代わりに支払わなければならないといったケースもあるので、そのような場合はよりいっそう自身の生活や将来のための貯蓄が厳しいものになるでしょう。
中高年フリーターが正社員として就職するのが難しい理由
ここからは中高年フリーターが正社員として難しい理由について考えていきましょう。
多くの企業は中高年にスキルを求めているから
まず多くの企業は、中高年に対しスキルを求めています。同じ未経験であれば当然成長率が高く仕事の覚えも早い新卒を採用するはずです。
しかしながら中高年フリーターのほとんどは、向上心が低く、自分にしかない特技やスキルを身につけることができていないため、そのような人にとって正社員としての就職は厳しいように思われます。
年上が部下だと仕事がやりづらいから
また年上が部下だと仕事がやりづらいというのも中高年フリーターが就職しづらい理由の一つとして挙げられます。
企業によっては給料を年齢によって決めるというところもあるので、やはり年齢の壁は就職活動をする上で大きな障害となってくるでしょう。
仕事を覚えても会社に貢献する前に退職されるから
また若い人であれば仕事を覚えたらその後会社にとって大きな役割を果たしてくれる存在になります。
しかしながら中高年であれば仕事を覚えた数年後には退職してしまう年齢になっている可能性があります。せっかく育てた人材をすぐに手放すとわかっていればわざわざ雇う企業も少ないでしょう。
中高年フリーターが安定した収入を確保する方法
最後に、中高年フリーターが安定した収入を確保する方法についてご紹介します。
初心者でも最も始めやすい手段としてはネットを使った副業が挙げられます。特にライティングやブログなどは初期投資もほとんど必要ないのでリスクなく始めることが可能です。
またそれらの副業は成長すれば将来的に安定した収入になるほか、起業のきっかけにもなるかもしれません。
まとめ
今回は「中高年フリーター」の現状と将来性について見てきました。いかがだったでしょうか。
正直、 中高年フリーターの現状としては非常に厳しいです。しかし現在政府による支援やネットによる副業ビジネスの活性化などもあるので、それらを上手く利用することで現状を打破することは十分可能です。
いずれにせよ、老後の不安をなくすためには、明確な将来設計を立てることによって安定した収入を手に入れることが重要です。
そのためにも日々自分自身としっかり向き合うことを心がけていきましょう。