近年、仕事を辞めたいけれど自分で退職したいことを言えない人や、退職希望を伝えても辞めることのできない人が、仕事を退職するために退職代行を利用していると報道されてから、一気に退職代行は有名になりました。
その一方で、退職代行は違法なのでは?という声もチラホラ聞こえています。退職代行は果たして違法なのでしょうか。本当のところを調査しましたので解説していきます。
ズバリ!退職代行は違法?違法じゃない?
退職代行は、ズバリ!「非弁行為」に払拭しなければ違法ではありません。
「非弁行為」ってどういうこと?という人のために、非弁行為については後ほど詳しく解説しますが、退職代行という本来のサービスを正しく行っている会社なら、違法(非弁行為)は行われないので安心です。
退職代行は、「退職したい。」という気持ちを本人に代わって伝えてくれるとてもシンプルなサービスです。
それ以外にも、
・会社と自分の間に入って連絡をしてくれる
・上司や社員の人達と顔を合わせることなく退職できる
・即日の退社も可能
という風に、朝「仕事を辞めよう!」と欠勤して退職代行を利用、上司や社員の人達と連絡も不要でそのまま仕事を辞めることができちゃうのです。
ただ「会社を退職する。」という行為のみのサポートは違法とはなりませんので、自分で退職を言い出せない人や、何度か退職の意思を伝えても辞めさせてもらえないという場合は、退職代行の利用の検討をおすすめします。
退職代行業者は違法?法律から見たケース
退職代行は、本来の退職代行としての業務を正しく遂行している場合、違法にはなりません。
しかし、少しでも多くの人が退職の際に自分の希望を反映させて退職できるようにと様々なサービスを提供している場合、法律の視点から見ると、違法ギリギリという退職代行業者がいるのも事実です。
そのため、退職代行業者を利用する場合は、どのようなサービスが行われているのかの確認は必ずするようにしましょう。
法律の視点から退職代行業者で行われている違法(非弁行為)は、
・保険の手続き
・残業代や退職金など金銭に関する請求や交渉
などです。この2点は、弁護士資格を持っている人しか行うことができないので、もしも弁護士資格を有していない人が行うと違法となり、交渉した事柄の効力は失われてしまいます。それだけではなく、その後トラブルへと発展する可能性が高くなってしまいます。
退職代行を利用する側も、どこまでが退職代行で行ってもらえるサービスで、どこからが違法となるのかを理解しておくことも大切です。
退職代行を利用して退職するということは、会社と争って退職を勝ち取るというのではなく、スムーズに退職するために利用するもので、退職代行はそれをサポートしてくれるものと思っておくと間違いありません。
非弁行為とは?
本来弁護士しか行うことのできない業務を弁護士資格のない人が行うことで、それを「非弁行為」と呼んでいます。
非弁行為は、退職代行で行われる違法行為に限らず、弁護士が行う法律相談や、示談の交渉、法的な手続きなどの法律事務を行い報酬を弁護士資格を持っていないのに得ることを言います。
非弁行為を行うと法律的に違法となり2年以下の懲役または、300万円以下の罰金が退職代行業者に科せられることになります。
弁護士しか行うことのできないこと
退職代行の中でも、
・退職日の交渉を行う行為
・残業代や退職金など金銭に関する請求や交渉を行う行為
などが代表的なもので、これらの行為は弁護士にしか行うことはできません。
退職代行業者は、本来の退職代行業務である、退職を希望する依頼者とその会社の間に入り、連絡事項を伝えることを守っていれば違法にはなりません。
退職代行業者は違法じゃなく合法と言われる理由
退職代行業者のサービスで違法となるものについて紹介しましたが、それなら退職代行業者は一歩間違えれば違法で、利用しない方がいいんじゃないかと思うかもしれません。
しかし、多くの人が利用している退職代行業者は、違法(非弁行為)にはならず、しっかり合法でサービスを提供していて、安心して利用することができます。
退職代行業者は違法ではなく合法と言われる理由を紹介しますね。
退職代行業者は違法じゃなく合法という理由① 労働契約や就業規則は法律とはまた別だから
そもそも「退職する。」という行為は、労働者に認められている権利であって、会社を辞めることに対して罪に問われたり、罰せられることはありません。
会社に入社すると労働契約や就業規則のもとで日々の業務を遂行することとなりますが、その就業規則で退職に関する項目として、「退職は1ヶ月前に申し出ること。」という風に表記している会社が多いと思います。
この就業規則は、あくまでの会社が設定した社員に対するお願い事項であり、必ずしも従う必要はないのです。
労働契約や就業規則を守らないからと言って、違法となって法的に罰せられることはありませんので、「退職」を希望して即日で出社しなくなったとしても誰にも咎められません。
退職代行業者は違法じゃなく合法という理由② 退職代行業者はあくまでもサポート
退職代行業者は、退職したい人に代わり本人が伝えたいことを伝えるということを業務として行いサポートするものです。
そのため、実際に退職代行業者を利用すると、
・退職したいこと
・退職日までは有給消化もしくは欠勤したいこと
この2点を伝え、手続きに関することは本人と郵送でのやりとりを行い、連絡事項があったら退職代行業者を通してほしいということを伝え、この連絡以降は、会社へ出勤することなく退職日を迎えることができます。
退職代行業者は違法じゃなく合法という理由③ 退職は2週間という期間を利用してやめれば合法
会社を辞める場合、一般的には先ほども紹介したように会社が定める雇用条件や就業規則によって1ヶ月前に申告するというような期間を設けています。
しかし、それはあくまでも会社が定めているだけで、社員となる人へのお願いです。
法律的には、民法の中で以下のように定められています。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。」(民法627条引用)
法律上は、2週間後に辞めることが認められているので、即日で退職できない場合は、2週間後まで有給を消化するか、欠勤扱いとしてもらい退職日を待つのかを選べば良いだけなので、合法です。
違法ではない退職代行業者を選ぶポイントは?
退職代行業者のほとんどは、違法とならないようにしっかり業務を行っていますが、中には、違法ギリギリのサービスを提供しているところもあります。
違法ギリギリの退職代行を行っている業者を選び利用した場合、いつ違法と会社側に言われてしまうのかわかりませんし、違法となった場合は大変です。
そこで、退職代行業者を選ぶなら違法ギリギリのサービスではなく、合法の範囲のサービスをしっかり提供してくれる業者を選ぶのが得策です。
そこで、違法ではない退職代行業者を選ぶポイントについて紹介します。
違法ではない退職代行業者を選ぶポイント① 退職の意思を伝えることのみとしている業者
退職代行業者として提供できるサービスは、「退職の意思を本人に代わって伝えることのみ。」としている業者は、違法行為をしてまで退職のサービスを提供しない業者として信頼することができます。
「何でも希望することを請け負います。」という業者は、一見とても嬉しい業者と思えますが、違法行為と判断されてしまったら、退職自体ができなくなったり、トラブルに発展する可能性が高くなるので、「何でもやります!」という業者は危険だと思うようにしましょう。
違法ではない退職代行業者を選ぶポイント② 顧問弁護士がいることが明らかである業者
退職代行業者の中には、顧問弁護士を設置しているところも多くあります。できれば、顧問弁護士のいる退職代行業者を選ぶようにしましょう。
その退職代行業者の中で、顧問弁護士がどの程度関わっているのかはわかりませんが、それでも顧問弁護士がいると、違法にならないサービスの提供を受けることが可能です。
違法ではない退職代行業者を選ぶポイント③ 退職に関する交渉の代理を行っていない業者
退職代行を利用するなら、これまで貯めた有給をすべて消化したり、未払いの残業代や退職金の交渉もしてくれたらいいのにと思う人もいると思いますが、退職代行業者は、金銭に関わる交渉や請求など違法となることは行いません。
退職代行業者とはそういうものと思うことが何よりも大切です。
しかし、退職代行業者の中には、業者の方から「退職金や有給の話し合いなども代行しますよ。」と持ちかけてくるところもあるようです。
弁護士が行っている退職代行業者なら問題ありませんが、弁護士が在籍していないのにそのような話を持ちかけてくる業者は選ばないのがポイントです。
まとめ
退職代行サービスは、とてもシンプルなものですが、だからこそ利用する人がさらに便利に利用できるようにと、手厚いサービスをつけて提供したいという業者も中にはいるようです。
しかし、退職代行という業種柄、やり方によっては違法(非弁行為)となってしまうので、その線引きをきちんとしている退職代行業者を選ぶことが、トラブルなく確実に退職する唯一のポイントと思って、慎重に業者選びをするようにしましょう。