ニートとなっている現状を打破し、日常生活を取り戻したいという人のために「ニート支援」が様々な機関で行われていることをご存知でしょうか。
ニートの状態に陥っていて仕事に就くことができないという人の中には、「ニートを脱出したい。でも不安や悩みが多すぎて抜け出せない。」という人も少なくありません。
本記事では、ニートの現状やニート支援についてまとめてみました。
自分がニートで不安や悩みを抱えているという人はもちろん、家族にニートの状態の人がいて何か支えになりたいと思っている人の参考にぜひご活用ください。
ニート支援を考える前にニートってそもそもどういう状態?改めて考えてみよう
真面目に仕事に取り組んでいたけれど、ある日何もかも嫌になってそのまま仕事を退職、ニートになってしまったというケースは、現代社会を送っている私たちにとって決して他人事ではありません。
誰もがいつニートの状態になってしまうかわからないからこそ、改めてニートとはどういう状態のことを言うのか、ニートの現状について理解し考えてみましょう。
日本におけるニートの定義とは?ニート支援も日本は独特?
厚生労働省では「15~34歳の失業者や無業者のうち、学生や主婦を除き、求職活動にいたっていない者」という風に、ニートとフリーターの違いについて定義しています。
この厚生労働省が定める定義には、日本独特とも言えるものがあり物議を醸しています。
それはどういうことかというと、「求職活動をしていなくても正社員などに就きたいと就労を希望している人は、ニートではない。」としているのです。
そのため、就労活動の有無を問わず、就労の希望があるかどうかという気持ちの部分によってニートかニートじゃないかが区別されているということになるのです。
ニート人口の現状は?ニート支援は難しい?
日本でニートに分類される人たちの人口は、2002年にピークを迎え、その後、横ばいに推移していると言われています。
内閣府の調査・発表によるとニート人口は、2002年に80万人という数のピークを迎えているとしています。
2014年の調査では、15歳~34歳の若年層の無業者は56万人。
そのうち、
25歳~29歳の無業者は16万人
30歳~34歳の無業者は18万人
と、若い年齢ではなく年齢が上がるほどにニート率が高くなっているのです。
高齢化社会が深刻化している現在では、若者の人口そのものが減少していることから、若年層のニート人口は減少傾向にあります。
しかしその一方で、30代後半~40代の中年以降のニート人口が増加傾向にあるため、ニート人口の現状は、2002年以降横ばいとなっていることも納得できます。
ニートになってしまった、ニートであり続ける本当の理由とは?
何かをキッカケにしてニートの状態に陥ってしまったという人は、好んでニートの状態を維持しているのか気になるところです。
現在ニートでいる人や、ニートであり続ける本当の理由には、以下のような事情があるよう
です。
病気や怪我によって就労できずにニートの状態になっている
自分自身に自信を持つことができなくなってしまった
就職先を探したけれど見つけることができない
資格取得のために勉強をしている状態
進学のために勉強をしている状態
やる気を起こすことができない
人が怖く、勇気が出ない
など、病気や怪我によって就労できない、資格取得や進学のために勉強しているという以外の理由で、ニートの状態が続いているケースは、ほんのちょっとしたキッカケでニートから脱出することは十分可能です。
ニートの支援が活発化?その実態は?
ニートの人が勇気を持ってニートから脱却し、社会生活を過ごすことができるようなニート支援が活発化しています。
何らかの原因によってニートの状態に陥ってしまった人、すぐにでもニートの状態になりそうな人など、誰もが陥る可能性のあるニートの状態は、ニート支援によって救われるかもしれません。
ニート支援とニートの人が社会復帰を成功させるために必要なものとは?
ニート支援によってニートの人を社会復帰させるために必要なものは、ズバリ!
ニートとなってしまった人が抱える精神的な部分を支援することです。
例えば、ニート生活を過ごす人の多くは、
社会から疎外されていると不安や焦りを抱えている
引きこもりがちの生活を余儀なくされている
自己PRの方法がわからない
社会復帰するための情報を持っていない
など、ニートの状況に置かれている人の多くは繊細で深刻な問題を抱えているように見えます。
しかしその一方で、正しい情報を与え、小さな成功体験を積むことで、また社会へと復帰する勇気を持つことができるようになります。
そのお手伝いをするのがニート支援で、悩みや不安、焦りを解消させるためのキッカケ作りを行うことが可能となります。
ニート支援を行っている企業・団体は?
現在、ニート支援を行っている団体は、厚生労働省が委託した企業、NPO法人など47都道府県すべてに設置されています。その数は、全国173ヶ所にも及び、どの施設も無料で利用することができます。
ニート支援では、個人相談から、仕事体験やセミナーなど利用者にとってベストな支援を行っています。
これまで多くの人が利用しニートから脱出、また元気に社会生活を過ごすキッカケとなったニート支援の企業・団体をいくつか紹介します。
ニート支援① ハローワークの求職支援
ハローワークと言えば、日本全国どの地域にもある職業紹介や支援を行っている機関で国が管理しています。
誰でも無料でいつでも利用することができるので、就職や転職で利用したことがあるという人も多い施設です。
ハローワークの求職支援は、
職業相談
求人紹介
職業訓練
就職セミナー
就職講習会
などが随時行われています。
雇用に関する相談や援助、指導などのサポートも行っているので、想像以上に手厚い支援を受けることができます。
国が定めているニートという定義は、ハローワークで求職者登録した時点でニートではなく働く意欲のある「求職者」という扱いになります。
さらに、職業相談と求人の応募を行うことが可能となり、就職へと一歩近づくこととなります。
ニート支援② サポステ(地域若者サポートステーション)
15歳~39歳までの若年層を対象とした様々な就労支援を行っているのが、地域若者サポートステーションで、通称サポステと呼ばれています。
サポステでは、ニートの状態になっている人はもちろん、働くことに関する不安や悩みを抱えている人すべての人が安心して働くことができるような支援を行っています。
サポステでの求職支援は、
個別相談と支援のための計画書の作成
コミュニケーション能力を高めるような訓練など就労に導く様々なプログラムの実施
職場見学や職場体験
就職した人に対する相談
保護者を対象とした相談やセミナー
など、ニートとなった本人はもちろん、その家族に対しての相談などを行っています。
ニート支援③ ジョブカフェ(若年者のためのワンストップサービスセンター)
若年者のためのワンストップサービスセンターは、日本全国46ヶ所設置しており、都道府県各地で支援活動を行っています。
原則としては15歳~34歳を対象としていますが、地域によって上限とする年齢に違いがあるので、利用する場合は年齢の確認を行うようにしましょう。
ジョブカフェは、ハローワーク内に併設されている場合も多くまずは、何から始めれば良いのかわからないという人が相談に訪れる場所としても利用できます。
ジョブカフェで行われている支援としては、
個別カウンセリング
自己分析方法などの勉強会の開催
職業体験
社会人としてのマナー研修
などが随時行われています。
ニート支援④ NPO法人
公的機関ではありませんが、公的機関に近いNPO法人もニート支援を行っている団体が多くあり、日本全国に点在しています。
ニート支援を行っているNPO法人の多くは、
個別カウンセリング
就労のための様々な勉強会
ニートになったお子さんを持つ両親に向けた勉強会
など就職するために必要な支援はもちろん、就職した後の支援を行っている団体も多くあります。
ニート支援⑤ 民間企業
ニートの支援は、公的機関やNPO法人だけではなく、民間の企業でも行われています。
基本的には、公的機関やNPO法人とサービスや支援の内容に違いはありませんが、就職に向けての様々なニート支援プランを用意しています。
支援内容は、
個別カウンセリング
面接対策
様々なトレーニングや講座の開設
内定後のフォロー
などとなっています。
単なる就業支援ではなく、ニートとなってしまった人が信頼して語ることのできる環境の整備にも重点を置いています。
就職後長く定着することができるような就職サポートなど社会人として活躍していくことができるような支援を心がけてニート支援が行われています。
ニート支援⑥ 就労移行支援
就労移行支援は、様々な機関で行われているニート支援の中でも、
難病を抱えている人
身体障害を抱えている人
発達障害を含む精神障害などを持つ人
で就労を目指したいという人のサポートを行う福祉サービスのことを言います。
何かしらの身体的、精神的障害などを抱えていて、ニートな状態にある人は、障害者手帳を所持していなくても医師の診断書があれば利用できる自治体もありますので、事前に確認してみることをおすすめします。
就労移行支援で行われているニート支援は、
個別相談と支援計画書の作成
職場探し
職業訓練
職場定着のための支援
などが行われ、原則18歳~65歳の人が利用することが可能です。
ニート支援の就労移行支援を行っている事業所の探し方は?
就業移行支援事業所は、各自治体に設置されているニート支援施設ですが、実際にどこにあるのかわからないという人も多いと思います。
ニート支援も行われている就労移行支援を行っている事業所は、お住いの市区町村にある障害福祉窓口で問い合わせるか、ハローワークなどでどこにあるのか聞いてみるようにしましょう。
通いやすいところにある就労移行支援事業所を見つけたら、事業所のある市区町村の窓口で利用のための申込みを行います。
申し込みから就労移行支援事業所を実際に利用することができるようになるまでには、約1ヶ月ほどの期間が必要となりますので、すぐに利用することは残念ながらできません。
早めの申し込みを行っておくようにしましょう。
まとめ
仕事をすることができないニート状態に陥ってしまった場合、自分ひとりで克服したり、家族の支援を受けてニートから脱するのは、正直難しいのが現実です。
ニートの状態になったらできるだけ早くニート支援を行っている公的機関や民間企業などを利用することをおすすめします。
ニートの状態は、恥ずかしいものという意識を持ったり、偏見の目で見られる場合も少なくありません。
しかし、ニートだから人間失格ということは決してありませんし、ほんのちょっとのことでニートを克服することが可能です。
だからこそ、自分自身だけ、自分と家族だけという小さな枠にとらわれることなく、利用できるものは利用していくことが最短でニートから脱出する方法のひとつです。