退職届・退職願は、どんな退社の仕方をするにせよ重要な書類です。そのため、折り方や書き方にも留意して準備しなければなりません。しかし、退職届のマナーについて詳しい方は少ないのではないでしょうか。
そこでここでは、退職届を封筒に入れるときの折り方や書き方を詳しくまとめていきます。マナーよく円満退職をしたいという方はもちろん、今から退職願・退職届を書こうしている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
退職届ってどうやって書くの? 折り方は?
退職届の折り方は、一般的に3つ折り、または4つ折りが一般的とされています。特に折り方に縁起や決まっていることがあるわけではなく、大きすぎず、小さすぎない形が4つ折りまたは3つ折りだから、この折り方が採用されているようです。
書き方も「退職したい」という意思が伝わればいいので、それほどはっきりとした内容は決められていません。極端な話、メールやラインでの「退職したいんですけど」という一言でも、法律上は退職の意思を提示したものとされ、効力を発揮します。
とはいえ、退職は新しい門出に至るための大切な儀式ですから、立つ鳥跡を濁さず、綺麗な文章を書きたいという方もいるはずです。そんなときは、「本題」「理由」「名前」の3つを書くことを意識するといいでしょう。
具体的には、「このたび一身上の都合により、〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」「〇〇部〇課 山田××」「株式会社〇〇 △△(役職名)田中〇〇殿」といったような形で書けば、失礼なく退職届けを書けます。
封筒に関しても詳しい様式はありませんが、表面に「退職届」と書き、背面に「自分の名前と宛先」を書けば問題ありません。もし郵送で送る場合は、表面には宛名だけを書きましょう。
このように、退職届の様式やマナーは意外とふんわりとしていて、厳密に決まっているわけではありません。というのも、退職届はどんな形で出しても効果を発揮するからです。
それでも「正しい方法で出したい」と考える方が多いのは、古巣とはいえお互いに気持ちよく終わりたいという、気持ちから来る行動でしょう。
折り方を悩んでいる方の多くも、そういった気持ちを抱えている方が多いと思います。そこで以下では、絶対に相手に失礼にならない退職届の折り方を、3つ折りと4つ折りにわけて詳しく解説していきましょう。
退職届の折り方1. 3つ折り
3つ折りは、退職届を出す上で最も一般的な折り方です。退職届に詳細な様式は定められていませんが、一般的には3つ折りで出すのが望ましいとされています。人によっては3つ折り以外は認めないという方もいるので、封筒に入らないというわけでなければ、基本的に3つ折りがベストでしょう。
3つ折りをする場合は、まずは定規と綺麗で平らな場所を用意してください。退職届を平な場所に置いたら、長辺を定規で測りましょう。定規で長辺を計測したら、それを3分の1してください。そして、その部分から折り目をつけていきましょう。
このとき注意したいのが、折るときは必ず下から折るという点です。というのも、下から折ることで、読み手が読むとき、スムーズに冒頭から読み進めることができるからです。また、折り目が曲がってしまわないよう、定規を紙に挟むことで、真っすぐ綺麗に折れます。
下が折れたら、3分の1にした上部分がちょうど下部分と重なるように折りましょう。上部分が下部分を覆い隠すようなイメージです。ちょうど3分の1に折れているのなら、これで退職届が綺麗な長方形の形に折れたはずです。
あとは折った退職届を封筒にいれましょう。封筒に入れる際は、右上の書き出し部分が封筒の左側に来るように入れてください。こうすることによって、読み手が封筒を出すときに、書きだしからスムーズに読み進めることができます。
封筒に入れる際、どうしても退職届が折れ曲がったり、少したゆんでしまったりするので気を付けてください。少しよれていたとしても退職届には違いありませんが、細かいことを気にする上司ですと気になってしまい、心象に悪影響を及ぼす可能性があります。
もし、少しでも弛んでしまうのが嫌だという場合は、封筒を一回り大きいものにする手もあります。もしくは、4つ折りで一回り小さくしてみるといいでしょう。
退職届の折り方2.4つ折り
4つ折りも、3つ折りと同様に退職届において望ましいとされている折り方です。3つ折りほど一般的ではありませんが、3つ折りだと退職届がうまく入らない場合があるので、4つ折りで退職届を出す方も少なくありません。
特に、退職届を弛ませたくない、封筒が少し膨れていると気持ちよくないという方は4つ折りを採用する傾向にあります。 とはいえ、結局のところ3つ折りにするのか4つ折りにするのかは好みの範疇なので、自分が折りやすい方、もしくは相手が読みやすいと思う方の折り方で折るといいでしょう。
4つ折りをする際も3つ折りと同様に、まずは平らで綺麗な場所に紙を置きます。この時、消しカスやゴミなどが入らないよう、万全の注意を払ってください。4つ折りは3つ折りに比べるとゴミを巻き込みやすく、また、封筒に入れるときにも気づきづらいからです。退職届を開いたらゴミが落ちてきて、先方に不快な思いをさせないよう、注意しましょう。
定規などで、長辺のちょうど真ん中を探してください。真ん中がずれると折り目も大きくずれてしまうので、真ん中を探すときは細心の注意を払いましょう。
真ん中が見つかったら、そこを中心にして折り目をつけます。このとき、退職届の下部分から折るようにしてください。こうすることによって、相手が封筒を開けたとき、わざわざ紙を回転させずに読み始めることができるからです。
折るときは、両角がぴったり合わさるように調節しましょう。角がずれると、中心部もずれてしまい、最終的な出来栄えにも問題が出てくるからです。もしずれてしまった場合は、諦めて別の部分で調節しましょう。何度も折ると、紙がぐちゃぐちゃになってしまうからです。
真ん中を中心にして折り終わったら、今度は短辺のほうの真ん中を見つけてください。最初と同様に、定規を使って中心部を見つけるといいでしょう。短辺を見つけたら、最初と同様に、角と角をあわせるように折ってください。
2回目を折るときは、最初と同様に下部分を上に折るようにしましょう。このとき、下部分になるのは「紙が繋がっている部分」です。こうすることによって、受け取った方がスムーズに紙を出して開封できます。
2回目を折ろうとすると紙が膨れて弛んでしまうことが多くあるので、端の部分に重りなどを置いたり、定規を置いたりして対策しましょう。無事に2回目もおり終わったら、あとは封筒に入れるだけです。
封筒に入れるときは、書き出し部分と封筒の左側が同じ方向にあるかを確認しましょう。この方向が間違えていると、受け取った相手が紙を回転させて読まなければならず、手間をかけさせてしまうからです。
退職届の折り方と書き方を学んで円滑な退職を
退職届の折り方に関しては、極論、相手が不快に思わなければどんな折り方でも構いません。しかし、相手がどのような常識を持っているのかわからないのが社会です。特に退職届けを受領するであろう会社の重役ともなれば、特定のこだわりを持っていても不思議ではありません。
そのため、退職届の折り方を考えたとき、大事なのは「大多数の人が納得する折り方」をすることといえます。そして、その折り方こそが3つ折りであり、4つ折りなのです。
たかが折り方と思うかもしれません。確かに、ほとんどの人は退職届の折り方を気に留めることはないでしょう。しかし、人によっては退職届の折り方ひとつがこれまで重なった悪印象に火をつけ、退職の話がこじれてしまう可能性もあるのです。
特に退職が絡むデリケートな話題は、いくら仕事といえども、いつもより神経質になる方も少なくありません。そのため、少しでも一般的に良いとされる折り方を身に着けることは非常に重要だといえるでしょう。
退職届の書き方が、テンプレートに則って、事務的な文章であるのもこのためです。素直に自分の気持ちや原因を書いてしまうと、円満退職に黄色信号が点滅しはじめてしまいます。
ただし、退職の理由によってはこうした「マナー」が覆される場合もあります。それが、会社都合による退職を希望する場合です。具体的にはパワハラを受けたり、ブラック会社による過労により退職をしようとする場合です。
会社に非難されるべき原因があって退職する場合は、会社都合の退職にすることによって、保険や制度の面で優位に立てます。しかし、会社の方も「会社都合での退職」を認めると助成金が下りなくなるので、できる限り認めようとしません。
その場合は、マナーを考えるよりも、はっきりとした態度で退職届を出すべきでしょう。具体的には、退職届に退職の理由を書くこと、退職届を出すときは別の封筒で、郵便局を介して提出することが挙げられます。
このように退職届を出すことで、第三者に「退職届を出した」という証拠を証明することが可能です。このため、無理矢理留められるということがなく、さらに会社都合での退職を実現できます。パワハラや過労の証拠(音声データや医師の診断書、タイムカード)などがあれば、あとからハローワークで退職の理由を変えることも可能です。
双方が納得できる形で出来る限り円満退職をするのが理想ですが、もし円満の退職が出来ない場合は、退職届ひとつに関しても、「証拠」として使えます。
まとめ
退職届の折り方、書き方は、ルールというよりはマナーという面が大きいようです。相手に気持ちよく読んでもらえるよう、あるいは角を立たせないように、折り方や書き方が定められています。
読みやすくする、綺麗に折るというのは、社員が退職する前にできる、会社への最後の心遣いとも取れます。立つ鳥跡を濁さずということわざがありますが、これは退職をする際にも同様です。
マナーのよい折り方と書き方を学び、円満で気持ちよく退職してください。